トップページ > 周辺知識  > ポルフィリン症とは?

ヘム合成経路と酵素

基礎的事項

  • わたしたちの体内でヘム蛋白は、ヘモグロビン(酸素の運搬)、カタラーゼ(活性酸素の消去)、シトクロムc(エネルギーの生産)、CYP450(薬物の分解)など、非常に多彩でかつ大切な役割を担っています. ヘム蛋白の主要な構成成分であるヘムは、したがって生体のあらゆる組織に不可欠な分子でありすべての細胞で合成されますが、需要の大きさからその大部分は骨髄(約80%)と肝臓(約15%以上)で合成されています。

  • ヘムの生合成は、ミトコンドリア内でのグリシンとサクシニルCoAの縮合によるδ- アミノレブリン酸の合成を第一段階とし、以後計7段階の酵素反応からなります(上図:ヘム合成経路と酵素)。
    各段階で生じる中間体はそれぞれに対応した酵素の働きによってすみやかに次の反応へと進むため、通常細胞内に過剰に蓄積されることはありません。

ヘム合成酵素

ポルフィリン症とは?

  • ポルフィリン症とは、ヘムの生合成に関与する8つの酵素のうち最初の反応であるδ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS)を除いた以降の7つの酵素のいずれかの障害に起因する疾患群をさします (ヘム合成経路と酵素)
    どの段階の酵素が障害されているかによって過剰に蓄積する前駆体(δ-アミノレブリン酸、ポルホフォビリノーゲン)あるいは中間体(各種ポルフィリン体)の種類が異なるため、それぞれの病型ごとに異なった特徴を生じることになるわけです。

  • 散発性の晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)以外は親から子へと遺伝する遺伝性疾患であるため、これらを「遺伝性ポルフィリン症」と総称することもあります。

  • ポルフィリン症の分類は、病気が発症する原因から考えた場合に前駆体や中間体の過剰産生が主として肝臓で起こるのかあるいは骨髄で起こるのかによって肝性と骨髄性とに分類されますが、むしろ臨床的立場からは、致死的ともなりうる急性神経内臓発作を主徴とする急性ポルフィリン症と皮膚光線過敏症を主症状とする皮膚ポルフィリン症とに分類するのが一般的となっています(下図:ポルフィリン症の分類と病型)。

  • わが国における正確な頻度は不明ですが、報告例では晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、急性間欠歇性ポルフィリン症(AIP)、骨髄性プロトポルフィリン症(EPP)の順となっており、他の病型はまれとされています。

ポルフィリン症の分類と病型

監修:山陰労災病院 第二内科 前田直人先生