患者さんへのメッセージ
3. 日常の生活で留意すること

急性ポルフィリン症の発作の誘因と予防

急性ポルフィリン症では酵素遺伝子異常によりヘム合成能力は低下していますが、通常では必要なヘムを充分合成出来る程度の低下です。
通常は症状はありませんが、薬物、妊娠、飢餓、ストレスなどにより、発作が誘発されます。したがって、誘因を避ける事が重要です。

避けるべき発作の誘因

  • ストレス
  • 不適切な栄養補給
  • 不規則な食事、ダイエット
  • 急性ポルフィリン症を誘発させることが知られている薬物、化学物質の使用
    1. アルコール、喫煙、漢方薬、殺生物剤、及び、有機溶剤(例えば、染料、洗剤にも含まれます。)
    2. 種々の薬剤、及び、その他の医薬部外の物質

予防策

  • カロリーの補充により、腹痛等症状が軽減します。随伴疾患、あるいは、感染症の適切な治療が必要です。
  • 月経周期に伴い急性発作を生じる女性患者では、排卵を抑制し、月経前の発作の出現を防止するために、薬物を用いて月経を止めることもあります。
弘前大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科学講座 教授 大門 眞

発作を起こさない為の日常生活上の留意点

  1. 水分摂取を普段からこころがけてください。
  2. 季節の変わり目に注意してください。
  3. 不眠・過労・アルコール摂取・不規則な生活・絶食などを避けてください。
  4. 薬物・健康食品などをむやみに摂取しないでください。
必要な場合はかかりつけの先生に相談をしてください。
島根県済生会江津総合病院 名誉院長 堀江 裕

急性発作症状が起こった時の対応

体調がすぐれないときや発作症状が現れたときは、慌てずにかかりつけ医に相談又は受診し早期治療をこころがけてください。
受診されるまでは、できる限り糖分や水分を摂取しておきましょう。
島根県済生会江津総合病院 名誉院長 堀江 裕

急性ポルフィリン症はコントロールできる病気です

急性ポルフィリン症の発作症状を起こさないためにも、普段からかかりつけ医と相談し、回避すべき薬物や環境を避け生活習慣を改善しながら発作が起きないようこころがけましょう。
元気な生活を長く続けていくためにも、家族や職場の上司・同僚、学校の仲間など周りの方にもあなたの病気のことを理解してもらい、かかりつけ医と一緒に気長に根気よく取り組んでいきましょう。
島根県済生会江津総合病院 名誉院長 堀江 裕

妊娠・出産について

  • 妊娠中は血液中の女性ホルモンが大きく増加します。そのため急性ポルフィリン症の人は妊娠により症状が悪化する可能性があります。
  • 妊娠を考える時は、内科と産婦人科がそろったなるべく大きな医療機関で、予め医師とよく相談の上で、計画的に妊娠することが安全なお産につながるでしょう。
  • 出産にあたっては、子宮を収縮させて出産を促進したり、逆に子宮の収縮を抑えて早すぎる出産をとどめたりと、ポルフィリン症のない妊婦でも、状況に応じて、様々な薬剤を使う必要性が出てきます。
  • いざという時に使っていい薬剤、使用を避けるべき薬剤を医師が十分に勉強して用意する時間と余裕があるように、計画妊娠・計画出産をこころがけましょう。
そうすれば、たとえば何かの理由で帝王切開などが必要になった場合でも、安全な麻酔薬などを準備の上で出産に向かうことができるでしょう。
豊橋市民病院 糖尿病・内分泌内科 部長 山守 育雄

これから妊娠・出産される患者様へ

皆さんのうち半分の人は急性ポルフィリン症の体質を(お父さんではなく)お母さんから受け継いでいるはずです。あなたのお母さんも、あなたを産めたのです。
だから、過度に恐れることはありません。
これまでに述べたことは、あなたのお産をより安全にするための注意と受けとめて下さい。
おそれず、あなどらず、の精神で妊娠に臨みましょう。
豊橋市民病院 糖尿病・内分泌内科 部長 山守 育雄

LH-RHアナログ製剤

子宮筋腫や子宮内膜症の治療に用いられるLH-RHアナログと呼ばれる種類の薬剤には人工的に月経を停止させる作用があり、月経周期に伴って周期的に発作が起きる人には症状を軽減させる効果があります。
ただしこの場合も無月経になる関係上、更年期障害に似たのぼせなどの症状が出たり、骨粗鬆症の原因になるという副作用がありますので、慎重に効果と副作用を見極める必要があります。
使用する場合も、あまり長期にならない方がいいですので、医師とよく相談して下さい。
豊橋市民病院 糖尿病・内分泌内科 部長 山守 育雄

ピルと避妊について

ピル

避妊や月経を調節する目的で使用するピルは、たとえ低用量であっても急性発作を引き起こす可能性があるので、避けるべきとされています。
いわゆる「緊急避妊用ピル」も同様に避けるべきです。

避妊

避妊の目的であれば、より確実な効果を得るために、基礎体温法やコンドーム(ただし必ず最初からつけること)など、他の方法を複数組み合わせることをお勧めします。
既に出産経験があり、今後数年間の避妊効果を期待するならIUD(子宮内避妊用具)もありますが、黄体ホルモンを含むIUDは急性発作を招く可能性があるので、避けた方が良いでしょう。
豊橋市民病院 糖尿病・内分泌内科 部長 山守 育雄

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