かかりつけ医の先生へのメッセージ
1. 急性ポルフィリン症患者さんの診療の際のお願い
診療の際にご留意いただきたいこと
日常生活では、発作の誘因を避ける事が大切です。
- 飢餓が誘因となるため、不規則な食事、ダイエットを避けるなど、適切な栄養摂取をご指導ください。
- 日ごろ使用されている医薬品の中には、ポルフィリン症の発作を誘発するものがあります。発作を引き起こす薬剤を使用しない事が重要です。急性ポルフィリン症発作を誘発する可能性のある薬剤に記載されている薬物リスト及びウェブサイトを参照して下さい。
- 定期的に病院で投与して発作を予防する薬剤もありますのでご考慮ください。
もし急性ポルフィリン症の発作が起こったら
- 糖液500-1000mLを、改善が無ければ一日量で400g以上を目標に静脈内投与を行う。
- ブドウ糖の静脈内投与にて効果が無い場合、あるいは効果が期待できない場合に、ヘミン製剤を静脈内投与する。
ヘミン製剤は、国際的には本疾患の第一選択薬と位置づけられています。
本邦では、2013年に発売され、注文に応じて、即日使用出来る体制が整っています。薬価は、1クール(4日間)に合計4本使用で40万円程です。
発作が起こったら、早期に使用する事が予後及びQOL改善の上で大切です。
社会医療法人 松柏会 至誠堂総合病院 健康増進センター センター長 大門 眞
急性ポルフィリン症発作を誘発する可能性のある薬剤
本邦の医療用医薬品のうち、使用上の注意にポルフィリン症が記載されている薬剤を次ページ以降にまとめました。
また、海外のウェブサイト上にも急性ポルフィリン症を誘発する薬剤や安全に使用できる薬剤をまとめた薬剤リストが掲載されています。
発作を誘発する薬剤、しない薬剤について十分な情報がありませんが、現在利用できる情報として提示させていただきます。
発作を誘発する薬剤、しない薬剤について十分な情報がありませんが、現在利用できる情報として提示させていただきます。
社会医療法人 松柏会 至誠堂総合病院 健康増進センター センター長 大門 眞
添付文書で「ポルフィリン症」が禁忌・使用上の注意に記載されている薬剤一覧
※2023年3月現在PMDAホームページ掲載添付文書より
※皮膚ポルフィリン症についてのみ注意のある薬剤は除く。
※薬剤の使用にあたっては、最新の添付文書をご確認ください。
※皮膚ポルフィリン症についてのみ注意のある薬剤は除く。
※薬剤の使用にあたっては、最新の添付文書をご確認ください。
薬効分類 | 成分名 | 商品名(例) | 「使用上の注意」に記載がある項目 | |
---|---|---|---|---|
全身麻酔剤 | チアミラール | チトゾール | 禁忌 | |
チオペンタール | ラボナール | 禁忌 | ||
催眠鎮静剤、抗不安剤 | トリクロホス | トリクロリール | 禁忌 | |
抱水クロラール | エスクレ | 禁忌 | ||
フェノバルビタール | フェノバール | 禁忌 | その他の副作用 | |
フェノバルビタールナトリウム | ルピア―ル | 禁忌 | その他の副作用 | |
アモバルビタール | イソミタール | 禁忌 | その他の副作用 | |
セコバルビタール | アイオナール | 禁忌 | その他の副作用 | |
ペントバルビタール | ラボナ | 禁忌 | その他の副作用 | |
抗てんかん剤 | フェニトイン・フェノバルビタール | 複合アレビアチン配合錠 | 禁忌 | その他の副作用 |
フェノバルビタール | フェノバール | 禁忌 | その他の副作用 | |
フェノバルビタールナトリウム | ノーベルバール | 禁忌 | その他の副作用 | |
プリミドン | プリミドン | 禁忌 | その他の副作用 | |
カルバマゼピン | テグレトール | 禁忌 | その他の副作用 | |
精神神経用剤 | ヒドロキシジン | アタラックス | 禁忌 | |
ヒドロキシジンパモ酸塩 |
アタラックス-P | 禁忌 | ||
カルバマゼピン | テグレトール | 禁忌 | その他の副作用 | |
解熱鎮痛消炎剤 | ジクロフェナク | ボルタレン | その他の注意 | |
局所麻酔剤 | メピバカイン | カルボカイン | その他の注意 | |
リドカイン・プロピトカイン配合剤 | エムラ | その他の注意 | ||
ロピバカイン | アナペイン | その他の注意 | ||
リドカイン | キシロカイン | その他の注意 | ||
自律神経剤 | メペンゾラート臭化物・フェノバルビタール | トランコロン P配合錠 |
禁忌 | その他の副作用 |
眼科用剤 | ペルテポルフィン | ヒスダイン | 禁忌 | |
リドカイン | キシロカイン | その他の副作用 | ||
不整脈用剤 | リドカイン | 静注用キシロカイン | その他の注意 | |
消化性潰瘍用剤 | ラニチジン | ラニチジン | その他の注意 | |
糖尿病用剤 | グリクロピラミド | デアメリン | その他の副作用 | |
アセトヘキサミド | ジメリン | その他の副作用 | ||
他に分類されない代謝性医薬品 | ヒドロキシクロロキン | プラケニル | 合併症・既往歴などのある患者 | |
その他の腫瘍用薬 | タラポルフィン | レザフィリン | 禁忌 | |
タモキシフェン | ノルバデックス | その他の副作用 | ||
主として抗酸菌に作用するもの | リファンピシン | リファジン | その他の注意 | |
サルファ剤 | サラゾスルファピリジン | サラゾピリン | 慎重投与 | |
その他の診断用薬(体外診断用医薬品を除く。) | アミノレブリン酸 | アラグリオ | 禁忌 | |
避妊剤 | デソゲストレル・エチニルエストラジオール | マーベロン | 合併症・既往歴などのある患者 | |
ノルエチステロン・エチニルエストラジオール | シンフェーズ | 合併症・既往歴などのある患者 | ||
レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール | トリキュラー | 合併症・既往歴などのある患者 | ||
その他の外皮用剤 | メトキサレン | オクソラレン | 合併症・既往歴などのある患者 | |
混合ホルモン剤 | エストラジオール・レボノルゲストレル | ウェールナラ | 合併症・既往歴などのある患者 | |
エストラジオール・酢酸ノルエチステロン | メノエイドコンビパッチ | 禁忌 | ||
テストステロンエナント酸エステル・エストラジオール吉草酸エステル | ダイホルモン・デポー | 合併症・既往歴などのある患者 | ||
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール | ヤーズフレックス | 合併症・既往歴などのある患者 | ||
ノルエチステロン・エチニルエストラジオール | ルナベル | 合併症・既往歴などのある患者 | ||
レボノルゲストレル・エ チニルエストラジオール |
ジェミーナ | 合併症・既往歴などのある患者 | ||
ノルゲストレル・エチニルエストラジオール | プラノバール | 合併症・既往歴などのある患者 | ||
卵胞ホルモン及び黄体ホルモン剤 | エストラジオール(経口) | ジュリナ | 合併症・既往歴などのある患者 | |
エストラジオール(経皮吸収) | ディビゲル | 禁忌 | ||
エストラジオール(経皮吸収) | エストラーナテープ | その他の副作用 | ||
エストラジオール(経皮吸収) | ル・エストロジェル | 禁忌 | ||
ジドロゲステロン | デュファストン | 合併症・既往歴などのある患者 | ||
プロゲステロン | ウトロゲスタン | 禁忌 | ||
メドロキシプロゲステロン酢酸エステル | ヒスロン | 合併症・既往歴などのある患者 | ||
その他のホルモン剤 | ダナゾール | ボンゾール | 禁忌 |
社会医療法人 松柏会 至誠堂総合病院 健康増進センター センター長 大門 眞
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